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小児そけいヘルニア

小児そけいヘルニア

小児そけいヘルニアとは、本来閉じるはずの腹膜の袋(腹膜鞘状突起といいます)が、そけい部で開いたまま生まれてくる状態で、小腸や卵巣が入り込んでそけい部が膨らんでくる病気です(図1)。ほぼすべてが、外そけいヘルニアです。そけいヘルニアが小さければ、1歳までは自然治癒の可能性があります。しかし、1歳を過ぎてもそけい部が腫れている状態であれば、自然治癒の可能性はなく、治すためには手術が必要になります(当院では1歳以上の小児を手術対象としています)。

  • 小児そけいヘルニア手術
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まず初診時にそけいヘルニアかどうかを診察します。診察の時にそけい部に突出がなくても、注意深い視触診、超音波検査で診断することが可能です。当院での日帰り手術に同意が得られましたら、術前検査として胸部レントゲン写真を撮ります。実際の手術については、このとき詳しく説明します。

手術は、そけい部の1.5~2cmの皮膚切開から、ヘルニアの出口で腹膜をしばって閉鎖する高位結紮術(図2、3)という方法です。しばる糸は吸収糸(溶ける糸)を使用し、体内に異物を残さないようにしています。手術時間は20~30分程度で、全身麻酔(麻酔時間50~60分)で行います。合併症には、出血、創感染、精管損傷、精巣動静脈損傷、再発などの可能性がありますが、熟練した外科医が行えば安全な手術です。

当院では、小児そけいヘルニア手術を土曜日に限定した日帰り手術で行っています。午前中に手術をして、麻酔が覚めたら飲水・食事をし術後2~3時間後に退院、翌週月曜日からいつも通りの通学が可能です。体育の授業、水泳、スポーツなどは1週間ほど控えて頂きます。また、皮膚は接着剤で閉創しますので、抜糸や術後の消毒は不要です(図4)。手術当日からシャワーによる入浴ができ、湯船に入るのは術後3日目からできます。

術後診察は、約1週間目と約1か月目の2回です。遠方の方は、電話やメールで創部の状態を確認します。また、帰宅後に心配な点がある場合には、随時電話やメールで相談に応じています。

2006年5月31日北海道新聞「小児鼠径ヘルニア」

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